1.マルチエージェントを利用した情報操作システム
地球規模で利用されているインターネットには, 実にさまざまな情報が蓄積されています. これらの情報を公開・収集する方法は,大きく分けて二つの方法があります.
- サーバ・クライアント方式
WWWやFTPなど,サーバ上で公開されている情報を, クライアントから取得する方法. WWWではサーチエンジンを利用して情報を得ることができ, FTPでは archie サービスで必要な情報が存在するサーバを検索し, 取得可能. - P2P(Peer-to-Peer)方式
Napster や Gnutella など,サーバを持たず,情報を持つ端末同士で直接 情報のやり取りを行う方法.
本研究グループでは,まず,2.の P2P 方式による情報のやり取りの実現方法として 「モバイルエージェント」を用いたシステムに関する研究を行います. モバイルエージェントを用いることによって,情報検索,情報収集, 情報書き換えなどの操作が高機能かつ効率的に実現可能になります. さらに,アドホックネットワークなど, 端末や通信リンクの出現・消滅が頻繁に生じるような ネットワークでの効率的な情報操作が可能になります.
モバイルエージェントを用いた情報操作システムの応用例としては, たとえば以下のようなものがあげられます.
- 個人端末間での情報共有
- ユーザ間での情報の公開・収集 など
- モバイル端末向け情報共有
- 無線ネットワーク利用の端末間の情報公開・収集 など
- 分散配置された多数の端末の管理
- 演習室の計算機を,いっきに同じ設定に変更する
- 複数のルータの設定をいっきに設定変更する など
- ネットワーク端末の監視
- 端末のアクセスログなどからの異常アクセスの検出
- プロセスの暴走状態の発見 など
これらはいずれもモバイルエージェントを利用しなくても 実現可能なアプリケーションですが, 本研究では,モバイルエージェントの特徴を十分に発揮させ, 今までより便利で使いやすく, かつ高機能なアプリケーション開発を目指します. また,アプリケーション開発だけでなく, 理論的な基礎技術として分散アルゴリズムについても扱います. これは,分散アルゴリズム研究グループ と合同での研究となります.