時空間情報コンピューティング 研究テーマ

エラスティック・マップの研究

葛飾北斎の 「東海道名所一覧」 のように,江戸時代の 浮世絵には広い地域を鳥瞰図的に描いた絵図があります.これらの絵図は,美しいアート であるだけでなく,一覧性と視認性に優れた地図になっています.たとえば,「東海道名所 一覧」では,限られた画面の中に江戸から京都までの広範な地域を見事に納めています. 各地域の位置関係が分かるように全体が描画されているだけでなく,特定の地域について は,宿場の様子や名所旧跡,橋や家屋まで細かく記述されています.全体の様子がコンパ クトにまとめられていて,なおかつ興味あるところだけが詳細に記述されているので,一 覧性に優れた地図となっています.「北斎の絵図のような地図をコンピュータで自動的に作 れるようにしたい」という思いが,この研究の動機づけとなっています.

 私たちは,伸縮自在の地図(エラスティックマップ)が,北斎の絵図のような地図を作り出す第一歩になるのではないかと考えました.エラスティックマップでは,1枚の地図画面の中で,全体を眺めながら興味ある所を広げて詳細にしたり,画面の外側から興味ある所を手繰り寄せて画面に加えたりできるようにします.これにより,一覧性に優れ,かつ興味ある所の周辺が詳細で分かり易く描かれた地図を作れるようにします.1枚の地図の中に広がった部分と縮まった部分ができるので,距離に関しては地図の正確さは失われてしまいますが,表示を工夫することにより一覧性と視認性に優れた地図を作り出せるのではないかと考えています.

 本研究では,具体的に,数値地図を建物や道路などの基本的なオブジェクトに 分解し,ユーザの利用目的や興味対象等に応じてそれらを再合成する システムの実現を進めていま す.
 提案システムの主要な特徴は次の 2点にあります.

  1. 空間の連続性を保った任意のゆがみを統一的に記述可能な空間フィルタを実現していること
  2. 空間の変形に応じたオブジェクトの合成制御機構を実現していること

 このシステムによって虫眼鏡や手繰り寄せなどによる,ユーザの状況に対応したゆがみのある地図の再合成が可能になります.地図に虫眼鏡を適用した例
地図の右上を手繰り寄せた例

エラスティックモバイルマップの研究

伸縮自在の地図(エラスティックマップ)の考え方を一歩進めて,エラスティック モバイルマップEmmaの研究に取り組んでいます.この研究では,あたかも認知地図(頭の 中の地理的イメージや都市のイメージ)の増幅器のように働いて,都市社会での我々 の活動を助けるデジタルマップシステムの実現を目指しています.このシステムで は,利用者が認知地図に従ってデジタルマップを探索・拡大し,全体を眺めながら気 になるところを関連付けて詳細に閲覧することを繰り返します.これにより,利用者 が認知地図を豊かに鮮明にして記憶にとどめておけるようにします. エラスティックモバイルマップEmmaの詳細は,こちらをご覧下さい.

Webマップサービスの研究

上記のエラスティックモバイルマップの技術をWebサービスに効率よく適用するための研究です。 具体的には、注目地図(Focus領域)、広域地図(Context領域)とそれらの領域を繋ぐGlue領域を持つ Focus+Glue+Context型モデルを提案しています。これにより、注目領域であるFocusとContextの歪みがなく、 また、動的に描画する必要がある領域がGlueに限定されるため高速であるという二つの利点があります。 我々は実際にWebマップサービスとして開発して、一般に公開しています。

さらに、複数のFocusをまるで水滴がくっ付くかのように融合させる操作、 Androidなどの携帯端末での操作手法の提案、および、マルチタッチディスプレイでの地図操作などに 関する研究も行っています。

過去の研究

時空間コンピューティングの過去の研究に関してはこちらにあります。 ご参照ください。

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